映画・読書感想記事は基本的にネタバレです。ご注意ください。

2007年01月30日

「あゝ野麦峠」の中のミステリー 山本茂実

映画はあんまりよく観てなくて幾つかの場面を思い出すくらいなのだが、ここで書くのは著作の方である。

映画でも大変話題になった作品である。文明開化と共に日本で次々と作られていった紡績工場で働く女性達の姿が描きだされている。ある者は身売り同然に、ある者は病に倒れ死んでしまうような過酷な条件の中で懸命に働かざるを得なかった(多くは)若い女性達。決して多くはない賃金なのだが生まれ育った農村にいるよりは金になるということで雪山を越えて工場のある町へと働きに出、一日十数時間殆ど休みなく働いて貯めた金を懐に喜ぶ親の顔を見ることを楽しみに帰る少女たち。
そんな女性達の苦しみに満ちた生活の描写の中でここでは不適切かもしれないが、ミステリアスな部分に興味を持ってみた。ここが映画の中に描かれていたかはわからない。

明治39年9月、諏訪湖の下流の静かな村で酒屋の子守娘が惨殺死体で発見された。下腹部がえぐられていたのだ。

同じ年の11月、天竜川沿いで一人の製糸工女が殺される。彼女は色白で美人、男心をそそるような色香があったらしい。彼女も同じように腹部をえぐられたいたという。
刑事たちは赤い腰巻の乱れた裾から見える真っ白い太ももにぼーっとして「変態痴漢説」を唱えたのだ。
警察が見当違いの捜査をしている間に第3の事件が起きる。一度に若い母親・乳児・17歳のお手伝いの3人を殺したのだ。3人とも下腹部をえぐられていた。
殺されたのは乳児を除いていずれも若い女性。どれも下腹部をえぐられているが性的には犯されていないのだった。
しばらくたって49歳の女性が同じように殺されたが犯人は見つからない。
が、7人目の犠牲者となるはずだった女性に抵抗された上、顔を見られて逃げられてしまう。
こうして犯人は捕まってしまった。温厚で真面目な性格の男だったらしい。拷問にかけられてもついに理由を言わず処刑された為に原因はわかっていない。
警察は結核の特効薬として「人間の肝」が高値で取引されていた事に気づきこれが鍵だと睨むが金銭欲のためにそんな事をする男でもなかったためにどうしても動機がつかめないのだった。
ただ彼の恩人の娘が肺病でじっと死を待っている、という噂があった。義理堅いその男ならやりそうなことだ、という話だった。
すべては憶測に過ぎない、ということなのだが。

私としてはこういう路線から野麦峠を映画で観たい気がするのだが。こういう作品は真剣な思いで接っしなければいけないようで面白おかしく作るわけにはいかないのかもしれないけど。
ラベル:女性 ミステリー
posted by フェイユイ at 18:17| 香港 🌁| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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